新駅設置工事に係る重機開発
SPD11号機製作
この施工のために、特別な杭打機「SPD11号機」を製作。
完成に至るまでの開発ストーリー。
新駅設置工事に係る重機開発
SPD11号機製作
この施工のために、特別な杭打機「SPD11号機」を製作。
完成に至るまでの開発ストーリー。
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部長T.M.
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ヘッドメカニックM.A.
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チーフエンジニアA.K.
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技術指導F.K.
「SPD11号機」の製作が決まったとき、どう思いましたか?当時の思い出も合わせて教えてください。
- M.A.
初めて対応させる路線だったので、緊張するとともにワクワクしました。ちょうど回転機を大きくバラしている最中に本社の移転と重なったため、かなりバタバタしましたね。でも何もない状態から始まって、少しずつ形になっていくのは楽しかったですよ。
- A.K.
失敗したらやばいな、と率直に思いました。機械を入れる際には配線や配管のトラブルが起きないよう、一番神経を使いましたね。個人的には、最初の試験施工のときに体調不良により立ち合えず悔しかったのが印象に残っています。
- F.K.
プレッシャーはすごく感じました。体調不良になったKさんの代わりに、急遽、最初の試験施工に立ち合ったのも思い出です。私は普段、モータープールにいて、線路の中を見る機会がなかったので新鮮でした。
- T.M.
在来線とは違う、この線路の中に機械を入れた前例がなく、弊社のなかでも初めてのことでした。そのため、やはりプレッシャーが半端ではありませんでしたね。
「SPD11号機」の製作にあたり、こだわった点を教えてください。
- A.K.
トラブルがあった際に人力でも復旧できるようにするため、横にピンを付けてレバーで上がるようにしました。もちろん配管についてもトラブルがないように配慮したので、今までで一番仕上がりが良かったと思います。すぐにスパナが入るよう、本当に細かい部分にまで気を遣って配管を行いましたね。表からは見えませんが、軌陸の下の配管に注目してほしいです。従来とは油圧バルブの配置を変更し、脇に分散してみたんですよ。
- F.K.
機械にはどうしても故障が付きものなので、すぐ点検できるようにするため整備性の良さにはこだわりました。
今回のプロジェクトで苦労したのはどのような点ですか?
- T.M.
そもそも回転機を背負って走る設計になっていないので、重量の壁が一番きつかったです。すべていちからの開発だったので、もちろん全体的に苦労しましたね。既成の部品はほとんど使えず、作り直すことも多々ありましたから…。外注もうまくいかなかったため、結局自社での製作になったのも大変でした。
- A.K.
重さに関しては、軽量化できるところなんて高が知れていますからね。あとはサイドタンクも苦労しました。業者さんにお願いしようと思ったんですが、高さが違う古いタイプの図面しかなかったので外注もできずじまいで。機械に関しては回路や配管、バルブの配置など細部にわたって改良を重ねて作り上げました。加えて現場でも断線に気を使い、ホームに干渉しないようバランスや高さ制限への配慮に苦心しました。時間も限られていましたから、本当に大変だったと思います。
- F.K.
施工監視盤のワイヤーは線の巻き方によって変わるし、細いと切れやすく太いと誤差が発生する。深度がけっこう深いので、余計にその誤差が大きくなるのには苦労しました。
- M.A.
施工監視盤については、ソフトを変えて対策を行いました。可動ウェイトの調整も、支点が常に動く中バランスを取れるようにしなければならないので、苦労しましたね。その他、サイドタンクも、最終的には自分達で採寸するところからでしたからね。そして曲げ板を発注して、溶接して加工して…結局イチから全部作りました。
プロジェクトが完成して終了したとき、どんな風に思いましたか?
- T.M.
会社にとっての一大プロジェクトでしたから、非常に気合いの入る現場でした。開発にここまで時間を費やしたのも初めてで、すばらしいモデルケースになったと思います。ただ、これを継承していくのが難しい。若手のメンバーには、ぜひ参考にして勉強してもらいたいですね。現場で気持ちよく使ってもらうのが、開発者にとって一番の喜びです。
- M.A.
無事に終わってほっとした、そのひと言です。最後まで直しはありましたが、現場で一度も故障がなかったのは本当によかったですね。
1台の開発にこれだけの時間を費やしたこともなかったですし、何もない状態からここまでやったんだと、感慨深かったです。- A.K.
オンリーワンの「SPD11号機」が形になり、本当にうれしく思いました。でき上がった現場を電車が走り、生活者の方々が使っているのを見て頑張ったかいがあったと思いました。結果的には故障も一切なく、壊れずに長持ちしていますから。
- F.K.
動作確認のとき、ちゃんとスムーズに動いてくれたのを見て安心しました。まったく新しい、今までになかったものを作り上げたわけですから、完成したときはすごく感動しました。人生最大のやりがいを感じられるプロジェクトでしたね。